エミリー・ローズ1   ローマカトリック教会が公に『悪魔』の存在を認めた衝撃の実話が映画化。

 19歳の女子大生エミリー・ローズが、悪魔払いの儀式の後、亡くなった。
 エミリーはある日を境に幻覚を見るようになり、体が硬直し痙攣を起こし、様々な異常行動を起こすようなっていた。
 彼女と家族は、悪魔に取り憑かれたことによると考え、ムーア神父にすべてをゆだねる。神父は献身的彼女に悪魔祓いの儀式などを行うが、エミリーは壮絶な死を遂げ、神父は過失致死罪に問われる。
 彼女は病気だったのか、悪魔に取り憑かれていたのか。
 悪魔祓いを行った神父の罪を問う裁判が始まる。

 エミリーローズは法廷劇である。だが、毎日多く目にするテレビのCMを見る限り、悪魔祓いのホラー作との印象を持ってしまう。何故か…。ホラー映画の方が入りが良いからである。またか…。宣伝マン、ええかげんにせーよ。
 本当に最近の映画宣伝のセンスのなさは、嘆かわしい。

 法廷映画としては、まずまずであり、見応えがあった。
『エクソシスト』などのような、悪魔との対決は、ない。検察側が被告の言う「悪魔」というものを科学的に否定しようとする過程は、論理的な構築を重ねてきわめて説得力がある。エミリーが体験する幻覚や金縛り、口にする古代言語など、すべて神経の刺激で証明される。
 神もそうだが、悪魔はその存在を信じるものの前にしか現れない、要するに客観的に存在しない脳内現象にしか過ぎないのだ。
 私には彼女は病気に思えた。幻覚も、身体の強ばりも、病気だからと見えた。


エミリー・ローズ3

 楽しくない映画だった。もやもやしてる。なんか釈然としない。期待しすぎていたのだろうか。病気に対しての無理解さに力が抜けてしまったからだろうか。
 映画制作スタッフの身近に同じような病気の人がいたら、こういう解釈の映画にはならなかっただろう。いくら原作があっても。そう感じた。


『エミリー・ローズ』公式サイト