オリバー・ツイスト  ロマン・ポランスキー監督作品。ポランスキーはこの所精力的に映画を作っている。この映画はまだ幼い自分の子供に見せたいがために作ったとか。
 汚れない澄んだ瞳を持ち、天使のような繊細な表情を見せるオリバー役を演じたのは、新星バニー・クラーク。健気で真摯な存在感は、観る者すべての目を惹きつける。
 もうひとりの主役とも言える、フェイギンに扮するのは『ガンジー』でアカデミー賞を受賞した名優サー・ベン・キングズレー。本人とはわからないほどの凝ったメイクと演技である。
 そして、早業ドジャーを演じたは、ハリー・イーデン。ドジャー役は、やはり、カッコイイ! 心憎い、このこの! しっかりした演技で支えています。

 孤児のオリバーは監獄のような貧窮院から葬儀屋に奉公に出されるが、そこも過酷であった。やがてオリバーはロンドンに逃げ出す。行き倒れていると、ドジャーという少年に声をかけられスリ団の仲間に入れられる。ある日、オリバーは誤認逮捕されるが、容疑が晴れた後、金持ちに引き取られる。しかし、スリ団が見逃すはずもなく、連れ戻される。更に押し込み強盗の引き込み役にされようと…。

 19世紀ロンドンの街並みを細密に再現した監督の執念が、ここでモノを言う。その中で、過酷な運命に翻弄される9歳のオリバーは、あくまでも受け身キャラ。痛めつけられ、走り回るオリバー。それでも礼儀正しい。けなげでいたいけなバニーくんが、涙を誘う。

 ただ、悪辣な状況に育ちながら、オリバーの言葉遣いから来る礼儀正しさは母親の教育や存在の大きさががあるだろうが、母親のエピソードがまったく出てこないのは不満が残った。

 少し物足りない感じがしたかも。。爆発シーンがあるわけでもなく、感動の再会があるわけでもない。愛する人が死んでわーわー泣く所ががあるでもないから。お馬鹿なアメリカン映画に毒されてはいかんぞ。
 原作がディケンズだし、ああいう時代(18世紀のロンドン)だし、納得して心静かに観たので、素直に入って行けた。少年の健気な瞳に救われた映画だった。美少年を観る映画、かも?!
 そんでもって、やはり期待はドジャー。ワクワク。。はずさず良い演技だった。それなので、まずまずの良い映画でしょう。

 いえいえ、文芸作品として最高だ。ハラハラさせ、ドキドキさせ、目を釘付けにせた。少しも飽きさせず、ラストまで引っぱって行った。力のある映画だった。
 作り込んだセットはすごかった。


               オリバー・ツイスト2

 オリバーを引き取った庇護者、ブラウンロー氏は、エドワード・ハードウィック。(ワトソンくんだった!)
 ドジャーはカッコイイよ~~~。『オリバー!』のジャック・ワイルドも格好良かった。。