有頂天ホテル  物語の舞台は大晦日の大ホテル・アバンティ。そこに集ったそれぞれの人々に起こるそれぞれのハプニング。彼らに、幸せな新年は訪れるのだろうか?副支配人である新堂はなんとか今日、大晦日を無事に終えたいと願っていた。しかしなぜか総支配人は行方知れず。ホテルにはワケありの人物たちが続々集結。彼の願いもむなしく、トラブルばかりが発生していく。おまけに別れた妻と遭遇。動揺してしまう。そんななか、汚職が発覚した国会議員・武藤田がホテルに逃げ込んで来る。彼の元愛人は、客室係のハナだった。

 珍しく、邦画なのにお金を出して観てきた。気になったので、観ておかねばと。良い、悪いも、観なければ言えません。て。お金を出した客だからこそ、言わせてもらいましょう!

 上映時間136分。分厚い台本。(普通の映画の4倍位以上)普通でやったら6時間以上になるので、出来る限り早口で言ってもらったと言う監督のお話。フジテレビと連動しているので、情報はわりと知っていた。覚悟して観に行った。 
 しかし、しっかり間合いがあって慌ただしい感じはしなかった。
 それは、伊東四朗さんが言っていたように、長台詞の長回しなどは、役者に任せてくれてやりやすかったから、なのだろうか。
「僕は映像作家ではないので、そういう所はプロの役者さんに任せた方が良いと思うので」と、三谷幸喜は言う。なるほど。役者と監督の信頼関係の上にあるのか。
 本当にテンポが良かった。

 楽しめた。笑えた。
 下品な笑いではなく、馬鹿笑いでもなく、面白いから笑える。そんな笑いだった。
 日本では、どのテレビや映画を観ても、同じようなイメージの演技をしている役者さんが多い中、この映画の中では枠を出ている方が多かったのも、楽しめた。オダギリジョーさん、探してしまいましたよ。唐沢寿明さんも…。
 不幸せなシンガー桜・チェリー役のYOUも良かった。ラストの歌で、見事締めてくれた。爽快だった。

 出来たら、年末に観たかったな。

『喜劇映画』を観たと、久しぶりに感じた。
 三谷幸喜にやられてしまった。

 コメディ映画って難しい。ただ笑えれば良いってものではない。質が良くなければ、また観たいと思わない。あとにも残らない。笑えて「楽しめた」「爽快だった」重要なポイントだ。ひたすらにスピーディで騒がしいだけの、おかしなものでは『喜劇映画』ではない。
 私が今まで観た中で、最高なコメディ映画だと思ったのは『バベットの晩餐会』だ。あの笑わせ方は、憎い程だ。

 映像作家ではない三谷幸喜が、自ら大好きな『喜劇映画』を作った。マニアな一面が、生かされた作品。

 シアターの売店で、ダブダブグッズを手に取ってしまったのは、私だけではあるまい。。
(ダブダブとはホテル内で失踪してしまった、アヒルのお名前。本番では強く、一発OK録りの名演技)