レイ  本作の完成直前に惜しくも他界した盲目の天才ミュージシャン、レイ・チャールズの生涯を描いた、伝記的映画。
 
 アメリカ、ジョージア州の貧しい家庭に生まれたレイ・チャールズは、子供の頃に弟を亡くした。そのことが大きなトラウマになってしまう。それが原因か視力も失ってしまうが、レイの母親は甘やかすことはなく、厳しく彼を育て上げた。やがて17歳となったレイはシアトルに旅立つ。そこで知り合ったバンド仲間とともに成功の道を登り始め、彼のピアノと歌はまたたく間に全米中オンエアされるようになる。音楽の才能が認められ"盲目の天才"と呼ばれるようになった。しかし、その裏で女癖の悪さと麻薬に溺れるように…。

 第77回アカデミー賞主演男優賞、音響賞の2部門を始め、数々の賞を受賞した本作。2004年6月に他界した"ソウルの神様"レイ・チャールズをジェイミー・フォックスが圧倒的な存在感で演じ、黒人俳優としては史上3人目となる主演男優賞受賞を果たした。監督はレイ・チャールズと深い親交があったテイラー・ハックフォード。

 生前、ジェイミー・フォックスはレイ本人と時間を共にし、ピアノの手ほどきを受けていた。そして、生き写しのような演技をすることが出来たのだ。
 ジェイミーもあの時(撮影中)は何かが降りて来たかのようだった、二度とは出来ないと述べている。見事だった。迫力があった。演技、音楽、映画全体にソウルを感じた。身体が震えるような、映画だった。

 オスカーを、ジェイミー・フォックス以外誰がもらえるのだ。あの、圧倒的演技力の前で。


 書くのが遅れたけれども、もちろん、映画館で観た。館内はいつもよりシニアの方が多いと感じた。DVDのセールスの方も発売からロングランで、売り上げ上位にいる。力強い、作品だった。その結果が、売り上げにも如実に出ているのだろう。


辛口の一言。
 レイが存命中に撮影され、関係者がまだほとんど生きている状態なのね。それでは、彼の人生に大胆な創作や解釈を挟むことができないし、この映画が想像力を刺激することはない。名曲誕生秘話なども、レイの宣伝担当が作った「レイ伝説」にのっとっているわけで、コマーシャルチック…。
 

ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
Ray / レイ 追悼記念BOX